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ウィントン・ケリー/フル・ヴュー

ジャズ・ピアノ2

2005年10月15日

full_view.jpeg Wynton Kelly / Full View

 今日はウィントン・ケリー晩年のピアノ・トリオの名作『フル・ヴュー』。少し枯れ気味のグルーヴィーなセンスが渋い芳香を放つモダン・ジャズ・ピアノを代表する素敵な一枚です。メインストリーム・ジャズが転換点を迎える60年代半ばの録音で、ケリーの全盛時とはまた違った深い味わいのある内容。パーソネルは、ウィントン・ケリー(p)、ロン・マックルーア(b)、ジミー・コブ(ds)。1966年録音。Fantasy.

 本当に何て素晴らしいジャズなのでしょう。ここ数日じっくりと聞いてきましてそうした思いを再確認しています。本作は愛着のあるピアノ・トリオ・アルバムです。特に、3曲目ミディアム・スローのWhat A Difference A Day Madeに耳を傾けるたびにジャズの力強い魅力を実感させてもらっています。このしっとりしたブルーヴ感こそまさに私がジャズに求める醍醐味に他なりません。後半少しアップテンポになってからのケリーの見事なソロ・インプロヴィゼーションにはモダン・ジャズ・ピアノの最高のアドリブと絶賛したくなるような品格を嗅ぎ取ることができますね。

 転がって跳ね上げるような高音側のクセが幾分希薄になってはいますが、その絶妙なハーモニー・センスとその右手の心地よい転がり具合、それにいぶし銀のブルージーなフィーリングには完全に脱帽です。若さが少しそぎ落とされて落ち着きのあるケリーの本質がひっそりと確実に露になっている、そんな印象になります。

 急激に変遷してゆく時代の流れへの諦観と執着を感じさせる内容です。私は健在ですし私の奏するジャズこそ真の本物ですと、かつての名ピアニストは自信とともに哀愁をこめて主張しているに違いないと思われるのです。1971年39才の若さでこの世を去ることになる名手ウィントン・ケリーの気持ちがそこはかとなく伝わってくる名品です。60年前後マイルス・グループでモダン・ジャズ・ピアノ最高のパーフォーマンスを示したケリーが、50年代全盛期を迎えた多くのモダンジャズメンと同様に60年代後半に時代に逆らえずに一気に下り坂を下っていったのですね。最後に残した一輪の可憐な美しい名花と言えるのが本作に当るのでしょう。

1. I Want A Little Girl
2. I Thought
3. What A Difference A Day Made
4. Autumn Leaves
5. Dontcha Hear Me Callin' To Ya
6. On A Clear Day (You Can See Forever)
7. Scufflin'
8. Born To Be Blue
9. Walk On By

Wynton Kelly (piano); Ron McClure (bass); Jimmy Cobb (drums). Recorded in September 1966.

JR.comでは試聴可能です。→Wynton Kelly/Full View

詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Wynton Kelly / Full View

関連エントリはこちら。
  →ウィントン・ケリー『ケリー・アット・ミッドナイト』
  →ウィントン・ケリー『ケリー・グレイト』
  →ウィントン・ケリー『ケリー・ブルー』
  →ウィントン・ケリー『ウィスパー・ノット』

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投稿者 aft : 18:28 | コメント | トラックバック

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